陰部の発疹とかゆみ

Q:デリケートゾーンにかゆみがあり、市販の薬を付けてみましたが改善せず、だんだんひどくなっています。どのような薬が効果的でしょうか?

​A:市販の薬も多数販売されていますが、陰部のかゆみにはさまざまな原因があり、自己判断は危険です。場合によっては感染症の可能性もあります。是非、皮膚科を受診するようにしてください。男性であれば「泌尿器科」などでも受診は可能です。陰部のかゆみは、症状にあわない薬を使い続けることで悪化してしまう恐れもありますので、早めに医師による診察と適切な対応が重要です。

陰部の発疹・かゆみの原因

かゆみの原因は、汗やムレによる場合だけではありません。

カンジダなどの感染症や、肌に触れる繊維との相性が悪いことなども原因になります。特に生理のときは、肌がムレやすくトラブルが起きやすい状態になっています。

陰部の発疹やかゆみと性感染症の関係

性行為によって感染する疾患には 以下のようなものがあります。当皮膚科で診断、治療できる疾患は青色で記載しました。それ以外は産婦人科や、泌尿器科での検査・診断・治療が必要です。

目に見えるところに発疹があったり、かゆみや痛みを伴う場合は、まず皮膚科を受診するのが良いでしょう。

●梅毒
梅毒は梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)の感染による全身性、慢性の性感染症です。感染後3週間ころに多くは陰部に初期硬結という赤い腫れが生じます。無痛性の鼠径部のリンパ節腫脹がみられるのが普通です。

この初期硬結という症状が出なくても、感染していれば 感染後3か月ころから全身に発疹を生じます。梅毒性バラ疹、丘疹、硬結などがありますが、特にバラ疹は手掌(手のひら)で発見されることが多くあります。

無治療で経過すると3~数十年の間にゴム腫といわれる瘢痕治癒傾向のある皮膚潰瘍や心血管梅毒あるいは神経梅毒が出現するとされています。

臨床症状、血液検査により、診断が確定すれば、抗生物質の内服による治療が可能です。

当院では、血液検査を行っておりませんので、梅毒が疑われる場合は、血液検査が可能な泌尿器科の受診をお勧めしております。

●軟性下疳(海外旅行者以外きわめてまれ)

●鼠径リンパ肉下種症(海外旅行者以外きわめてまれ)

●淋疾
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)を原因とする性感染症です。多くは排尿痛を伴う急性尿道炎ですが 診断には泌尿器科的検査を必要とします。

●非淋菌性尿道炎 (クラミジア感染症・マイコプラズマ感染症)
クラミジア感染症は頻度の多い性感染症です。尿道炎が主ですが症状は比較的緩徐で、軽い排尿痛や漿液性、粘液性の分泌物を伴います。泌尿器科、婦人科での検査・診断が必要です。

●疥癬
疥癬虫(ヒゼンダニ)の皮膚角層内寄生による皮膚感染症です。性行為を介さずとも乳児から高齢者まであらゆる年齢層に伝播します。感染後約1か月の潜伏期間を経て発症します。
夜間、特に就寝時増強する激しいかゆみが特徴で、陰部、腋窩(わきの下)、手指、手掌、四肢、躯幹のあらゆる部位に発疹を生じます。症状と感染機会の有無、顕微鏡検査で診断します。治療には内服と外用薬があります。

●ケジラミ症
ケジラミ症はケジラミの人体寄生により引き起こされる皮膚疾患です。陰毛部に激しいかゆみを生じます。同部位に虫体や虫卵がみられます。臨床症状と、虫卵、虫体の発見により、診断します。治療は剃毛が確実ですが、スミスリンシャンプー、スミスリンパウダーで数回根気よく治療することによっても効果は期待できます。

●性器ヘルペス
単純ヘルペスウィルスの感染によっておこる外陰部および粘膜の感染症です。痛みを伴うことが特徴です。
抗ヘルペスウィルス薬によって治療します。

●尖圭コンジローム
イボの原因ウィルスであるヒト乳頭種ウィルスによる性感染症です。イボと同じように、液体窒素の凍結療法を行う場合もありますが、塗り薬の治療も有効な場合があります。

●陰部軟属腫
伝染性軟属腫(水いぼ)は一般に小児期の疾患ですが、性感染症として成人の陰部に発症をする場合があります。

●後天性免疫不全症候群(AIDS)

●膣トリコモナス炎
悪臭のするおりもの、外陰部のかゆみ・痛み、泡が混じった黄色・緑色のおりもの、排尿痛など比較的強い症状が現れます。

その他のかゆみを伴う感染症

●カンジダ性膣炎・皮膚炎
真菌(かび)の一種であるカンジダによって、膣や外陰部に症状が現れる病気です。白~黄色っぽいおりものや、膣・外陰部のかゆみがでます。必ずしも性行為感染症というわけでは無く、体力が落ちたときや、抗生物質などの内服が原因となることが多くあります。

陰部のかゆみへの対策

陰部のかゆみの原因は非常に多様です。必ず医療機関で診療を受けるようにしてください。

また陰部がかゆいからといって、ごしごし洗いすぎると症状を悪化させることがあります。医師の指示に従って治療を進めるようにしてください。

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