口角炎

Q:20歳女性です。くちびるの左右両側に湿疹のようなものが出来ていて、2ヶ月以上なおりません。食事の時に大きく口を開けると、口の端が切れて血がでることもあり、痛いです。また、人からみえるところなので、美容的にもイヤで、早く治したいです。どうしたらよいですか?

​A:上くちびると下くちびるが合わさるところ(口の両側・笑ったときに上がる部分)に炎症が起きることを、「口角炎」と言います。原因はいくつかありますが、当院を受診される方の口角炎で一番多いのは、「カンジダ性口角炎」です。口角の横にアトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎などの湿疹を伴っていることもあります。

そのほかに「単純ヘルペス」がちょうど口角のところに出来た場合などもありますが、多くは 左右のどちらか一方です。ビタミンAの内服や、抗がん剤の内服などで口角炎が出来る事もあります。

※このコラムでは、主に「カンジダ性口角炎」についてお話しします。

口角炎~原因と症状

口の中には、常に色々な微生物がいて、お互いにバランスを保っています。身体が健康で免疫システム(抵抗力)がしっかりしているときは、このバランスが常に保たれているのですが、風邪をひいたり、疲れた状態が続いたり、ストレスが続いて、免疫のバランスが崩れると、唾液中のカンジダ菌のようなカビの菌(真菌)が口角にたまって、粘膜・皮膚に炎症を起こすことがあります。​

これがカンジダ性口角炎ですが、風邪が治ったりして抵抗力がもとにもどると、自然に治ることが多いのです。

しかし、疲れが完全にとれないときや、ストレス状態が続くと、体力が回復せず、口角炎がずっと続くことがあります。口角に炎症があると、その周りの皮膚にも炎症が波及して、頬まで皮膚炎になったり、小さな傷から他のばい菌が入ったりして、余計に炎症がひどくなり、長引く事があります。

口角炎の治療と予防

治療
診察をして、カンジダ性口角炎のみの場合はその治療を、湿疹などもある場合は合わせて治療をします。ビタミンB2B6や、漢方薬の内服、抗真菌薬の外用などを行います。

予防
口内炎と同様、睡眠・栄養をしっかりとる、ストレスに上手に対処するなどして、「体調・体力を整える」ことが最も重要です。口角炎は長引く事もありますが、原因を見極めて治療すれば良くなることが多いです。困った症状が出た時は、皮膚科を受診しましょう。